解雇予告制度と解雇予告手当

解雇予告制度と解雇予告手当

労働者を解雇する場合には、正当な理由があっても、少なくとも30日前に予告するか、もしくは30日以上の平均賃金を解雇予告手当として保証しなければならないことが、労基法第20条で定められています。

これを解雇予告制度といいます。

予告義務が果たされなかった場合には、解雇予告手当が支払われることになっていますが、この手当の金額は次のような計算方法によって決められています。

基準となるのは平均賃金ですが、この平均賃金とは「解雇の発生した日以前の3ヶ月間にその労働者に支払われた賃金総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額」です。3ヶ月とは直前の賃金締切日から起算されます。
但し、夏・冬のボーナスは算入されません。

また、予告手当の日数は短縮される場合もあります。

例えば、解雇日が通告から5日後の場合は30日から5日分が引き算され、支払われる手当は平均賃金の25日分以上になるということになります。

なお、次のような特殊な期間については除外されます。
1.業務上の負傷または疫病にかかり、療養の為休業した期間
2.産前産後の女性が労基法第65条の規定によって休業した期間
3.使用者の責任に帰すべき理由によって休業した期間
4.育児・介護休業法に規定する介護をする為に休業した期間
5.試用期間

 

解雇予告制度の例外となるケース

 

解雇予告が不要となる例外は以下の通りです。
1.天災地変や不可抗力で、会社の継続ができなくなった場合
2.労働者に責任があって解雇される場合

具体的には下記のような事情が考えられます。

① 会社内における窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があった場合
② 賭博や職場の風紀、規律を乱すような行為により、他の従業員に悪影響を及ぼす場合
③ 採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合
④ 他の事業へ転職した場合
⑤ 2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
⑥ 遅刻、欠勤が多く、数回にわたって注意を受けても改めない場合

※1.2とも労働基準監督署の認定が必要。

3.日雇い労働者
4.2ヶ月以内の期間を定めて使用される人
5.季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される人
6.試用期間中の人
※上記3から6の場合でも

・1ヶ月を超えて雇用することになった場合
・最初の期間を超えて契約を更新した場合
・最初の期間を超えて契約を更新した場合
・採用して15日以上が経過した場合

には、解雇予告手当が必要です。

 

懲戒解雇の場合の解雇予告手当

 

懲戒解雇だと即時解雇になり、解雇予告手当を支払わないケースもあるようですが、即時解雇の場合でも、会社が解雇予告手当を支払わないで済ます為には、労働基準監督署の「解雇予告除外認定」を受けなければなりません。
これは、よほど重大で悪質な行為がある場合に限られています。
そのため、ほとんどのケースでは解雇予告手当の支払いが必要になります。

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