労働審判とは何か

 

労働審判制度は、平成18年4月に施行された制度です。

労働審判制度が施行されたことにより、特に従業員側は、労働紛争を迅速に、安価に、現実に即した形で解決できるようになりました。

 

労働審判手続きは、原則として最長でも3回で終了します。

申立をすると第一回の期日が設定され、調停(話し合いで双方が納得すること)で解決を試みます。

3回の期日内で調停が成立しない場合には、労働審判が下されることになります。

 

民事調停手続との大きな違いは、調停で合意に至らない場合に、「労働審判が下される」という点です。

この労働審判は「裁判の判決」に相当します。

 

申立から第1回期日までは原則40日以内ですから、3回の期日を経たとしても約3ヶ月で結論が出されます。

 

通常訴訟では結果が出るまでに約1年程度かかりますから、労働審判制度により解決までにスピードが格段に速くなっています。

 

労働審判に対して、異議申し立てをした場合には、労働審判は執行し、訴訟手続によって解決が図られます。

多くの場合訴訟になることはなく、労働審判の段階で解決されます。

 

労働審判は、審理が速い分、従業員が申し立てをおこない、会社側がこれを受ける場合には、会社側の準備時間が不足するという問題があります。

 

労働審判の第1回期日は、会社の都合関係なく決められてしまいます。そのため、会社の顧問弁護士がいる場合でも、その弁護士の都合がつかないというケースもあります。

しかも、申立から第1回期日までは原則40日以内ですから、会社側は裁判所から労働審判の呼び出しを受けてから、2,3週間で準備をしなければならないことも多くあります。

 

そのため、労働審判になった場合にはもちろんですが、労働審判になりそうな場合でも、事前に弁護士に相談しておいた方が良いでしょう。